20番の内容 [ ] 1. 当日は午後早くから会場となるの準備が始まったが、左方の州浜の参上が遅れ、歌合が始まったときはすでに日が暮れていたといわれる。 実頼は窮したが、その時帝が「しのぶれど」と兼盛の歌を口ずさんでいるのを高明が聞きつけ、実頼に伝えた。 桜 左:(勝) あしひきのやまがくれなるさくらばなちりのこれりと風にしらすな 右: としごとにきつゝわがみるさくらばなかすみもいまはたちなかくしそ 8. 首夏 左:大中臣能宣(持) なくこゑはまだきかねどもせみのはのうすきころもをたちぞきてける 右:中務(持) 夏ごろもたちいづるけふは花ざくらかたみのいろもぬぎやかふらむ 12. 概要 [ ] 歌題の提示から当日まで1ヶ月の期間をおき、進め方や左右双方の衣裳、歌を書いたを置く州浜(入り江などをかたどった飾り台)にいたるまで周到に準備されたもので、その典雅さなどで後世の歌合の手本となった。
12款冬() 左:源順(勝) 春がすみ井手のかはなみたちかへりみてこそゆかめやまぶきの花 右:平兼盛 ひとへづゝやへ山ぶきはひらけなむほどへてにほふはなとたのまむ 9.。 (ほとゝぎす) 左:坂上望城(持) ほのかにぞなきわたるなるほとゝぎすみやまをいづるけさのはつこゑ 右:平兼盛(持) みやまいでてよはにやいつるほとゝぎすあかつきかけてこゑのきこゆる 14. 左: あらたまのとしをつむらむあをやぎのいとはいづれの春かたゆべき 右:平兼盛(勝) さほひめのいとそめかくるあをやぎをふきなみだりそ春の山風 5. 忠見の悶死 [ ] 二十番の勝負において判者の実頼は優劣を付けられず、持にしようとしたが、帝から勝敗を付けるようにとの仰せがあった。
判者(はんじゃ:勝敗を決める役)は、その補佐に(たかあきら)、(こうじ:歌を読み上げる役)は左方・、右方・、方人(かたうど;応援する役)にはたちが左右に分かれ、それぞれ左方は(朱)、右方は(緑)を基調に衣裳を揃えるなど趣向を凝らしたものであったという。
恋 左:壬生忠見 こひすてふわがなはまだきたちにけりひとしれずこそおもひそめしか 右:平兼盛(勝) しのぶれどいろに出でにけりわがこひはものやおもふとひとのとふまで 逸話 [ ] 博雅の読み違え [ ] 三番の鶯の歌のとき、右方の講師であるは誤って四番の柳の歌を読み上げてしまった。
左:(勝) こほりだにとまらぬ春のたに風にまだうちとけぬうぐひすのこゑ 右:平兼盛 わがやどにうぐひすいたくなくなるはにはもはだらに花やちるらむ 3. 左:卿(勝) 倉橋の山のかひより春霞としをつみてやたちわらるらむ 右: ふるさとは春めきにけりみよしのの御垣の原をかすみこめたり 2. 郭公 左:壬生忠見(持) さよふけてねざめざりせばほとゝぎす人づてにこそきくべかりけれ 右:(持) 人ならばまててふべきをほとゝとぎすふたこゑとだにきかですぎぬる 15:夏草 左:壬生忠見(勝) 夏ぐさのなかをつゆけみかきわけてかる人なしにしげる野辺かな 右:平兼盛 なつふかくなりぞしにけるおはらぎのもりのしたくさなべて人かる 16:恋 左:藤原朝忠卿(勝) ひとづてにしらせてしがなかくれぬのみこもりにのみこひやわたらむ 右:中務 むばたまのよるのゆめだにまさしくばわがおもふことをひとにみせばや 17. 歌合のあと管弦の遊びが催され、退出は翌朝のことであった。
恋 左:藤原朝忠卿(勝) あふことのたえてしなくばなかなかに人をもみをもうらみざらまし 右:藤原元真 きみこふとかつはきえつつふるものをかくてもいけるみとやみるらむ 20. 3月初めに示された題は霞、鶯 、柳、桜 、款冬(山吹)、藤、暮春、首夏、郭公(ほととぎす)、卯花、夏草、恋の12。 桜 左:(持(じ;引き分けのこと)) さくらばな風にしちらぬものならばおもふことなき春にぞあらまし 右:平兼盛(持) さくらばないろみゆるほどによをしへば歳のゆくをもしらでやみなむ 7. 左方の方人から指摘があり、改めて鶯の歌を読み上げることとなったが、恥じ入る余り顔面蒼白となり、声も震えてうまく読めなかったという。
2左:藤原朝忠卿(勝) あだなりとつねはしりにきさくらばなをしむほどだにのどけからなむ 右: よとともにちらずもあらなむさくら花あかぬ心はいつかたゆべき 6. 参考図書 [ ]• 恋 左:大中臣能宣(勝) こひしきをなににつけてかなぐさめむゆめにもみえずぬるよなければ 右:中務 きみこふるこゝろはそらにあまのはらかひなくてふる月日なりけり 18. 『』第7巻():コミックだが伝えられている歌合の経緯が詳細に描かれている。
暮春 左:藤原朝忠卿(勝) はなだにもちらでわかるゝ春ならばいとかく今日はをしまましやは 右: ゆくはるのとまりをしふるものならばわれもふなでておくれざらまし 11. 左:藤原朝忠卿 むらさきににほふふぢなみうちはえてまつにぞちよのいろはかゝれる 右:平兼盛(勝) われゆきていろみるばかり住吉のきしのふぢなみをりなつくしそ 10. 鶯 左:藤原朝忠卿(勝) わがやどの梅がえになくうぐひすは風のたよりにかをやとめこし 右:平兼盛 しろたへの雪ふりやまぬ梅がえにいまぞうぐひすはるとなくなる 4. その間、左右の講師はずっと歌を読み上げ続けていた。
歌合は夜を徹して行われ、左方の10勝5敗5引き分けで終わった。
それでようやく実頼も決心が付き、右方の勝ちと判定を下した。
恋 左:(持) ひとしれずあふをまつまにこひしなばなににかへたるいのちとかいはむ 右:中務(持) ことならばくもゐの月となりななむこひしきかげやそらにみゆると 19. 渡部泰明『和歌とは何か』(岩波新書、2009年)、pp. 実頼は補佐の高明に決めてもらおうとしたが高明は平伏して何も言わない。 卯花 左: みちとほみ人もかよはぬ奥山にさけるうのはなたれとをらまし 右:平兼盛(勝) あらしのみさむきみやまのうのはなはきえせぬ雪とあやまたれつゝ 13. 卑官だったは、出世を懸けて詠んだ歌が接戦の末に負けたことを悲観してその後食べ物を受け付けなくなり、そのまま死んだという逸話もあるが、その後の晩年の歌も残っている。 鶯、郭公が各2、桜が3、恋が5の計20番で戦われた。
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