詫摩 佳代。 「国際政治と感染症 ~新型コロナで見えた国際保健協力の課題~」(視点・論点)

詫摩 佳代 (Kayo Takuma)

最近、感染抑制に比較的成功した事例は、2009年の新型(H1N1)インフルエンザであろう。 2024年の選挙で再びポピュリストの大統領が誕生する可能性も排除できず、そのような不確実性が付きまとうアメリカへの期待は、それほど大きくありません。 2014年、西アフリカでのエボラ出血熱の大流行は、WHOのキャパシティを超える様相を呈した。

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乳児栄養学を研究し、理事長も務めた。

詫摩 佳代 (Kayo Takuma)

WHOは国際機構であり、主体的に何かができるわけではないからです。

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性格形成』 金子書房 1989• 『性格』 共著 大日本図書 1968• 『性格は変えられるか 個性カウンセリング入門』 共編 有斐閣選書 1972• 以上の事例とは対照的に、新型コロナを巡ってはアメリカのリーダーシップはおろか、米中の対立が対応の障害となっています。 政治的な変化に耐えうる、持続可能な保健協力枠組みを整備することが今後4年間の課題の一つになると思います。

詫摩 佳代 (Kayo Takuma)

当ミッションは当時リベリアで展開されていたPKO(国連平和維持活動)とも連携、感染症対応における連携の重要性を印象付けた。 図4 パンデミックに対する各国の対応能力(IHR Preparedness Core Capacity)2017 (出典:WHO Global Health Observatory data) 対応能力強化に向けた努力は、国際機関と先進国がリードしている。

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先述のとおり、アメリカのWHO批判は、当機関と良好な関係にある中国への敵対心と深く絡み合っている。 またオンライン署名サイトChange. 法律学政治学特殊講義(政治学をもっと学びたい人のために)• しかしそれを以て悲観するのは早い。

WHOは中立たりえない、優先されるのは目的の達成

本書の3分の2ほどは、その感染症に人類はどう対処したか、予防や治療などの研究によって世界にどんな変化が起きたかなどを時系列で追って進む。 各国の専門家が集い、専門事業について話し合うことは、広く国際保健協力のネットワークを築くことに貢献した(図3、参照)。

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『これからの〈老い〉-老化の心理学』 講談社現代新書、1991年)• 「パーソナリティの形成」 『講座現代社会心理学 2. 強制力がないが故に、発生国との円滑なコミュニケーションが鍵になるという部分が強く意識された結果でもありました。

詫摩 佳代

「投影法」 『現代教育心理学大系 9. 1903 年に締約された上述の国際衛生規約は、その後、数回の改定を経てきたが、コレラや黄熱病など特定の感染症にしか適用できず、SARSや新型インフルエンザなど、昨今の新たな感染症に対処できないという問題点があった。 戦前、国際協調から外れることを選び、辛酸を嘗めた日本は、戦後のリベラルな国際秩序の担い手として重要な役割を果たしてきた。 Global Health Governance in a globalised world: historical evolution and the present problems Japanese-Canadian Frontiers of Science: JCFoS 2017• 数多くの一般書、啓蒙書を執筆して性格心理学、分野の知識の普及に努めるとともに、東京都立大学在職中には、らをはじめ多数の心理学者を育てた。

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『二歳~六歳の心理 依田明,繁多進共著 あすなろ書房 1975• アメリカのトランプ大統領は4月、WHOが「基本的な義務を果たさなかった」、「中国寄りである」として拠出を停止すると発表、5月末にはトランプ政権が要求した改革が実行されていないとして「WHOとの関係を終わらせる」と宣言した。

WHOは中立たりえない、優先されるのは目的の達成

本稿は月刊誌『Voice』2020年6月号、詫摩佳代氏の「WHOは保健協力の世界政府ではない」より一部抜粋・編集したものです。

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しかし、その批判は当を得たものなのか。 機能的アプローチの実践と国際組織化-国際連盟、戦時食糧協力、FAOへ-. 冷戦期の米ソは政治的対立を継続しつつも、感染症への対応に関しては、互いに協力することを選びました。